メーカー makerText by Natsumi Harashima

一番の醍醐味は、求められるイメージに近づけてゆくこと 01 印刷
  • シュー、シュー、ガタン、ガタン。そこは、湿度を保つための蒸気の音と印刷機械の音が合わさって、一定のリズムを刻み続けていた。印刷の現場は、上階のオフィス空間とは異質の空気に包まれている。一見無機質な現場だが、青い作業着を纏って仕事に取り組む松生さんと飯田さんの笑顔は、温かい。印刷部では、この道30年のベテラン松生さんと15年の飯田さんが、主にペパラブルの商品の印刷を担当している。

    「以前はちらしや本の表紙など、似たタイプのものをよく印刷していたので、ペパラブルを初めて刷った時は、一体どんなものができるのだろう?と新鮮に思いました。」と飯田さん。

  • 印刷の工程は、まずは「やれ紙」と呼ばれているテスト紙を刷るところから始まる。その日の状態に合わせてインクの量を調整しながら、少しずつ色を見本に近づけてゆく。その後実際に使用する紙で刷り、デザイナーなどの立ち会いを経てさらに色校正を重ね、本刷りに取りかかる。

    「数値で色を調整するのですが、最終的には自分の目を使って、求められるイメージに近づけていきます。目は酷使しますが、この作業が一番の醍醐味ですね。」と話す。

  • 今回作業を見せてくれたのは、ペパラブルでも人気の商品「リーフメモ」の工程。この商品は、湿度や温度を加えると反りやすいトレーシングペーパーの特性を生かしており、葉っぱ型のメモを手の平にのせるとゆっくりと丸まることが特徴だ。しかし印刷の現場においてはその「反り」が大きな曲者となる。

  • 半透明で薄く、繊細なトレーシングペーパーは見た目に美しいが、インクは乾きやすい特殊なものを使い、湿気の量を見ながら慎重に色をのせてゆかねばならない。工程の中でも特に神経を使うのが、紙を送る作業だ。空気に触れて反りを起こさないように、紙を丁寧に差し込んでゆく。飯田さんの表情にも緊張が走り、真剣な眼差しに息をのむ。この作業ばかりは、飯田さんだけでなく、ベテランの松生さんの手助けがなければできないという。

  • 右から松生さん、飯田さん

  • 「リーフメモの印刷は一番大変です。だからこそ一番思い入れもあります。ご近所の方から『買ったよ!』とお声がけ頂くと、やっぱり嬉しいですね。」
    と松生さんはにこやかに笑った。そんな松生さんを「何でも知っている頼れる大先輩」と慕いながら、「自分はまだまだ」と作業に励む飯田さんの笑顔もまた、とても清々しい。

    美しい発色にこだわりを持ったペパラブルの商品には、そんな2人の想いと努力もこめられているのだ。